都市伝説の怪物・幽霊・妖怪には、口裂け女、花子さん、八尺様、モスマンなどがいますが、伝承・UMA・ネット怪談・創作では成立過程が異なります。
この記事では代表的な怪異を「いつ生まれたか」「どこから広がったか」「何に分類できるか」で整理し、都市伝説の怪物がなぜ時代を超えて残るのかまで解説します。
都市伝説の怪物・幽霊・妖怪には何がいる?
代表的な都市伝説の怪物には、口裂け女、トイレの花子さん、メリーさん、テケテケ、八尺様、人面犬、モスマン、ブラック・アイ・キッズなどがあります。
さらに、スレンダーマンやSiren Headのように作者が確認できる創作怪物も、インターネット上で都市伝説に似た広がり方をしています。
まず、この記事で扱う主要な存在を一覧にすると次の通りです。
| 名称 | 分類 | 成立・流行時期 | 起源・媒体 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 口裂け女 | 都市伝説・現代妖怪 | 1978年末〜1979年頃 | 岐阜県周辺の噂から全国へ拡大 | マスク姿の女性として語られる |
| トイレの花子さん | 学校怪談・幽霊型 | 昭和期から複数の異説 | 学校内の口承・子どもの怪談 | 女子トイレの特定の個室に現れる |
| メリーさん | 電話怪談・幽霊型 | 成立時期に複数説 | 電話を題材とした都市怪談 | 電話のたびに語り手へ接近する |
| テケテケ | 現代怪談 | 昭和後期以降に広く流布 | 学校・鉄道怪談など複数系統 | 下半身を失った人型として語られる |
| カシマさん | 現代怪談・伝播型 | 昭和後期から複数系統 | 学校・地域の口承怪談 | 身体や名前に関する問いを伴う異説が多い |
| ターボばあちゃん | 道路系都市伝説 | 1980〜1990年代以降 | 自動車社会の口承怪談 | 車に追いつくほど高速で走る老婆 |
| 人面犬 | 都市伝説・UMA型 | 1980年代末〜1990年代 | 口コミ・雑誌・テレビなどで流行 | 人間の顔を持つ犬 |
| 八尺様 | ネット怪談・人型怪異 | 2008年8月26日 | 2ちゃんねるのオカルト板 | 異様に背の高い女性型の怪異 |
| くねくね | ネット怪談・人型怪異 | 2000年代 | インターネット掲示板など | 遠方で不自然に揺れる白い存在 |
| きさらぎ駅 | 異界型ネット都市伝説 | 2004年1月8日 | 2ちゃんねるへの実況形式の投稿 | 存在しない駅へ迷い込む怪談 |
| モスマン | UMA・怪物伝承 | 1966年頃 | 米国ウェストバージニア州周辺の目撃談 | 翼を持つ人型生物として語られる |
| チュパカブラ | UMA・怪物伝承 | 1990年代 | プエルトリコなどの目撃談 | 家畜を襲う正体不明の生物として語られる |
| ブラック・アイ・キッズ | 海外ネット都市伝説 | 1996年の遭遇談が起点とされる | Brian Bethelの体験談 | 目全体が黒い子どもとして語られる |
| スレンダーマン | ネット創作由来 | 2009年6月10日 | Something Awfulの画像投稿企画 | 異様に長身で細い人型キャラクター |
| Siren Head | ネット創作由来 | 2018年 | Trevor Hendersonによる創作 | サイレン状の頭部を持つ巨大怪物 |
名前だけ先に知りたい人なら、日本では口裂け女・花子さん・テケテケ・八尺様・人面犬、海外ではモスマン・ブラック・アイ・キッズ、ネット創作ではスレンダーマンが代表格と考えると整理しやすいでしょう。
ただし、「怖い姿をした存在」を全部同じ種類だと考えるのは正確ではありません。
妖怪や幽霊、UMAは主に「何者なのか」という分類ですが、都市伝説は「どのような物語として人々の間を流通したのか」という側面を持つからです。
この違いを頭に置いておくと、怪物一覧が単なる名前のカタログではなく、時代ごとに恐怖がどのような姿を与えられたのかを読む地図に変わってきます。
日本の都市伝説の怪物・妖怪で有名なのは?
日本の代表的な都市伝説の怪物・妖怪には、口裂け女、八尺様、テケテケ、カシマさん、ターボばあちゃん、人面犬などがいます。
大きな特徴は、山奥の異界だけでなく、住宅街、学校、駅、道路といった日常生活のすぐそばに現れることです。
口裂け女|1978年末から1979年に全国へ広がった現代妖怪
口裂け女は、口元をマスクなどで隠した女性として語られる、日本を代表する都市伝説です。
岐阜県図書館による調査記録では、1978年暮れ頃から1979年にかけて岐阜市周辺で噂となり、その後全国へ拡大したとされています。
発祥地には岐阜市、美濃加茂市、八百津町など複数の説があり、「1979年のある日、誰か一人が完成された物語を作った」と断定できるものではありません。
この点は重要です。
口裂け女には、問いかけの内容、逃げ方、弱点、走る速度など地域ごとの異説があります。いわゆる「ヴァリアント」、つまり同じ物語が語られる過程で異なる形へ変化する現象が非常に分かりやすく表れているのです。
筆者としては、口裂け女の最大の特徴は恐ろしい容姿そのものより、この「書き換えやすさ」にあると考えています。
細部は変わっても「マスクをした不気味な女性」という核だけが残ったからこそ、特定の原作を持たない怪異が全国へ定着できたのでしょう。
八尺様|2008年に掲示板から現れたネット怪談
八尺様は、21世紀の日本を代表するネット怪談の一つです。
確認できる原投稿として知られるのは、2008年8月26日に2ちゃんねるのオカルト板「死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?196」へ投稿された怪談です。
物語では、異常なほど背の高い女性型の怪異が登場し、独特な声を発しながら主人公へ接近していきます。
現在広く知られている八尺様には、白い服や帽子、特定の人物を狙うといったイメージがありますが、後世の二次創作や再話によって整理・追加された要素まで原典と同じものとして扱うのは避けるべきです。
口裂け女が口コミ社会を代表する怪異なら、八尺様は掲示板文化を代表する怪異と言えます。
約30年の時間差がありながら、「誰かが怖い話を受け取り、それを次の誰かへ渡す」という伝播の基本構造は変わっていません。
テケテケ|鉄道怪談と複数の伝承が混ざった怪異
テケテケは、下半身を失った女性や少女の姿で現れ、上半身だけで追いかけてくるとされる現代怪談です。
「テケテケ」という名前は、腕や身体を使って移動するときの音に由来すると説明されることがあります。
列車事故で身体を失った女性が起源だという話も有名ですが、カシマさんなど別の怪談との混同が見られ、すべてを一つの原典へ還元するのは困難です。
そのためテケテケを調べる場合は、「正しい元祖」を無理に決めるより、複数の学校怪談や鉄道怪談が互いに影響しながら形成された存在として見るほうが実態に近いでしょう。
カシマさん|「知ること」が怪談への参加になる
カシマさん、カシマレイコなどと呼ばれる怪談には、名前、姿、死因、失われた身体の部位、問いかけの内容など、多くの異説があります。
テケテケと結びつけて説明される場合もありますが、完全に同じ怪談とは言い切れません。
興味深いのは、「この噂を聞いた者のところへ怪異が現れる」という形式が見られることです。
怖い話を知った人が次の人へ伝えることで物語が延命していくため、噂そのものが怪物の移動手段になっているとも解釈できます。
ターボばあちゃん|自動車社会が生んだ高速怪異
ターボばあちゃんは、自動車と並走する、あるいは車を追い抜くほどの速度で走る老婆として語られる都市伝説です。
100キロ婆、高速婆など、類似した高速移動型の老婆伝説もあります。
この怪談で注目すべきなのは「老婆」だけではありません。
自動車が日常的な移動手段となった社会では、道端から歩いて追ってくるだけの怪異より、車に追いつく存在のほうが現代人の恐怖として成立しやすいのです。
怪談まで時代の速度に合わせて性能を上げていると考えると少し奇妙ですが、都市伝説の柔軟性がよく表れています。

人面犬|1980年代末から1990年代を象徴するUMA型都市伝説
人面犬は、その名の通り人間の顔を持った犬として語られる怪異です。
1980年代末から1990年代にかけて口コミ、雑誌、テレビなどを通じて広く知られるようになり、当時の都市伝説ブームを象徴する存在の一つとなりました。
高速道路やゴミ捨て場など都市的な風景と結びつく話もあり、「人間の顔」と「ありふれた動物」という組み合わせによる違和感が強烈です。
妖怪ともUMAとも呼べる曖昧な位置にいること自体、人面犬らしさと言えるでしょう。
都市伝説の幽霊にはどんな存在がいる?
幽霊型の都市伝説では、トイレの花子さん、メリーさん、カシマさん、消えるヒッチハイカーなどが有名です。
怪物型との境界は明確ではありませんが、人間だった存在や、人間に近い姿を持つものとして語られるケースが目立ちます。
トイレの花子さん|全国の学校へ移植できる怪談
トイレの花子さんは、日本の学校怪談を代表する存在です。
女子トイレの特定の個室をノックしたり、「花子さん」と呼びかけたりすると現れるという話が知られています。
ただし、何階のトイレなのか、何番目の個室なのか、どのような手順で呼ぶのかは学校や地域によって異なります。
ここに花子さんが長く生き残った理由があると私は考えます。
一冊の原作や固定された舞台を必要とせず、「自分たちの学校のトイレ」に物語を置き換えられるからです。
遠い心霊スポットではありません。明日、自分が使うかもしれない場所に怪異を移植できる。その距離の近さが学校怪談を強くします。
メリーさん|通信が距離を消す恐怖
メリーさんは、電話によって徐々に接近してくる怪談として知られています。
離れた場所から繰り返し連絡があり、そのたびに現在地が近づき、最後には家の前や背後まで到達するという筋書きが代表的です。
細部や成立経緯には複数の異説がありますが、物語の核は分かりやすいものです。
それは、遠くにいるはずの存在が通信を通じて自分の生活圏へ侵入してくる恐怖です。
固定電話がスマートフォンへ変わった現代でも、この構造は古びていません。知らない相手から突然届く通知やメッセージに薄い不安を感じる経験があるなら、メリーさんの恐怖は決して過去だけのものではないでしょう。
消えるヒッチハイカー|海外の都市伝説研究を象徴する幽霊譚
海外の都市伝説を語るうえで重要なのが「消えるヒッチハイカー」です。
典型的には、運転者が道端で人物を車へ乗せたものの途中で姿を消し、後からその人物がすでに亡くなっていたことを知る、という構造を持ちます。
民俗学者ジャン・ハロルド・ブルンヴァンは『The Vanishing Hitchhiker』で現代社会に流通する都市伝説を取り上げ、日本でも『消えるヒッチハイカー―都市の想像力のアメリカ』として紹介されました。
日本にも「タクシーの乗客が途中で消え、座席だけが濡れている」といった似た怪談があります。
しかし類似しているからといって、すべてが一つの原話から直接伝わったと断定することはできません。
夜道、移動手段、見知らぬ乗客、死者との遭遇は、それ自体が多くの社会で恐怖物語になりやすい素材だからです。
ブルンヴァンの研究が示した重要な点は、近代化した都市でも民間伝承は消えず、現代人自身が新しいフォークロアを作り続けていると理解できるようにしたことでしょう。
学校・駅・道路ではなぜ都市伝説が生まれる?
学校・駅・道路で都市伝説が生まれやすいのは、誰もが日常的に利用する一方、夜間や無人になると急に不安な空間へ変わるからだと考えられます。
怪異の種類だけでなく「どこに現れるか」を整理すると、都市伝説の性格がさらに見えやすくなります。
学校では、トイレの花子さん、赤マント、動く二宮金次郎像、理科室の人体模型などが語られてきました。
鉄道や駅ではテケテケ、カシマ系の怪談、そして異界駅として有名な「きさらぎ駅」があります。
道路ではターボばあちゃん、首なしライダー、消える乗客など、移動そのものを不安へ変える怪談が目立ちます。
きさらぎ駅|2004年1月8日に始まった異界型ネット都市伝説
きさらぎ駅は怪物そのものではありませんが、ネット時代の都市伝説を理解するなら外せない存在です。
遠州鉄道でも、2004年1月8日にインターネット掲示板「2ちゃんねる」へ投稿された都市伝説に登場する、実在しない駅として紹介されています。
投稿者は「はすみ」と名乗り、乗車していた電車がいつまでたっても普段の駅へ止まらず、やがて聞いたことのない「きさらぎ駅」へ到着したとして、掲示板上で状況を伝えていきました。
この怪談の恐ろしさは、最初から心霊スポットへ行っているわけではない点にあります。
普段通り電車に乗っていただけなのに、いつもの交通網が突然「知らない場所」へ接続してしまうのです。
安全な日常のシステムが、そのまま異界への入口になる。
この構造は、現代の都市伝説を考えるうえで非常に重要です。

ネット発の都市伝説・怪物は何が違う?
ネット発の都市伝説の最大の違いは、原投稿の日付や媒体、場合によっては作者まで追跡できることです。
代表的なネット怪談には、八尺様、くねくね、ヤマノケ、邪視、ヒサルキ、巨頭オ、時空のおっさん、きさらぎ駅、猿夢、コトリバコ、リゾートバイトなどがあります。
ただし、これらは同じ種類ではありません。
- 人型怪異:八尺様、くねくね、ヤマノケなど
- 場所・異界型:きさらぎ駅、裏S区など
- 呪物・儀式型:コトリバコ、ひとりかくれんぼなど
- 体験談型:猿夢、リゾートバイトなど
國學院大學の飯倉義之教授は、従来の口承文芸だけでなく、都市空間やインターネットで現在進行形に生み出される「話」も民俗学の対象として扱っています。
この視点はネット怪談を理解するうえで重要です。
掲示板へ投稿されたから伝承ではない、と単純に線を引くことはできません。
誰かが語った物語がコピーされ、再話され、細部を変えられ、別の媒体へ移動していくなら、その動きには昔の口承伝承と共通する部分があります。
一方で、ネットには昔にはなかった特徴もあります。
原典と後世の変化を比較できる可能性が高いことです。
八尺様なら2008年の投稿を基準にして、後からどのような外見や能力が付け加えられたのかを追跡できます。
きさらぎ駅でも、最初の実況形式の投稿と、その後の動画、漫画、映画、SNS上の再話を区別できます。
これは現代の怪異研究ならではの面白さです。
昔の口承怪談では失われていた「物語が生まれた直後の姿」が、ネットでは記録として残っている場合があるのです。
海外の都市伝説の怪物・UMA・ネット創作には何がいる?
海外では、モスマン、チュパカブラ、ブラック・アイ・キッズなどの都市伝説的怪物が知られています。
一方、スレンダーマンやSiren Headは伝統的な民間伝承ではなく、作者や成立時期を確認できる創作怪物です。
この違いを無視すると、「昔から伝わる都市伝説」と「ネットで作られたフィクション」が混同されてしまいます。
モスマン|1966年に目撃談が集中したUMA
モスマンは、翼を持つ人型の存在として語られる怪物です。
特に知られているのが、1966年に米国ウェストバージニア州ポイント・プレザント周辺で相次いだ目撃談です。
大きな翼、赤く見える目、人間に似た姿など、目撃談によって描写には違いがあります。
分類としては幽霊よりも、未知の生物として扱われるUMA・未確認生物文化との結びつきが強い存在です。
モスマンのような怪異が長く語られる理由の一つは、正体が固定されていないことでしょう。
未知の動物なのか、誤認なのか、怪異なのか。
結論が閉じないからこそ、新しい目撃談や解釈が入り込む余地が残ります。
チュパカブラ|1990年代に広がった家畜を襲う怪物
チュパカブラは、家畜などを襲う正体不明の生物として、1990年代以降にプエルトリコなどで広く語られるようになった存在です。
姿についても二足歩行型、爬虫類型、犬に似た姿など複数のイメージが流通しています。
ここでも興味深いのは、怪物の外見が一枚岩ではないことです。
「何者か分からない」という余白があるほど、別々の目撃談が一つの名称へ吸収されやすくなります。
UMA文化では、名前が先に巨大な器となり、異なる目撃談を集めていく現象がしばしば起こるのです。
ブラック・アイ・キッズ|1996年の遭遇談を起点とするネット都市伝説
ブラック・アイ・キッズは、一見すると普通の子どもなのに、目全体が真っ黒だとされる怪異です。
広く知られている起点は、記者Brian Bethelが1996年にテキサス州アビリーンで黒い目をした子どもたちへ遭遇したとする体験談です。
この遭遇談は後に超常現象を扱うメーリングリストへ投稿され、伝説の基礎となったとされています。
何百年も前から伝わってきた古い怪物ではありません。
それでも再話と派生エピソードが積み重なることで、いつしか「昔から世界のどこかにいた存在」のような雰囲気をまとっていきました。
ネット時代では、成立から数十年しか経っていない怪異でも、非常に速い速度で擬似的な歴史を獲得できるのです。
スレンダーマン|2009年に誕生した作者のいる創作怪物
スレンダーマンは、古来の民間伝承から自然発生した存在ではありません。
2009年6月10日、海外掲示板Something Awfulで行われていた画像制作企画へ、Victor Surge名義のEric Knudsenが長身で細い人型を写した加工画像を投稿したことが出発点です。
その後、他のユーザーが文章、動画、画像、独自設定を追加し、一人の作者から始まったキャラクターが共同的な物語世界へ拡大していきました。
ここで伝統的な都市伝説とネット創作の境界が面白くなります。
起源は明確なフィクションです。
しかし、作者以外の人々が設定を追加し、別の作品へ持ち込み、再解釈し続ける段階へ進むと、その増殖の仕方は民間伝承のヴァリアントに似てきます。
したがってスレンダーマンは、「古い都市伝説」ではなく「ネット創作から都市伝説的な伝播を始めた怪物」と表現するのがより正確です。
Siren Head|2018年にTrevor Hendersonが生み出した創作怪物
Siren Headも、昔から伝わってきた妖怪や都市伝説ではありません。
カナダのアーティストTrevor Hendersonによって2018年に発表された創作怪物として知られています。
細長い巨大な身体と、サイレンを思わせる頭部を持つ姿が強烈で、その後は画像、動画、ゲーム、二次創作などを通じて急速に共有されました。
そのため検索結果や動画では「海外の都市伝説」として紹介されることがありますが、成立過程まで考えるなら、スレンダーマンと同様にネット創作から都市伝説的に拡散した怪物と分類するほうが適切です。
Herobrine、Jeff the Killer、Cartoon Catなどについても同様に、見た目の恐ろしさだけで古い伝承と同列に扱わず、まず起源を確認する姿勢が必要でしょう。
都市伝説・妖怪・幽霊・UMA・ネット創作の違いとは?
都市伝説・妖怪・幽霊・UMA・ネット創作は、同じ基準で分類する言葉ではありません。
最も分かりやすく言えば、妖怪・幽霊・UMAは「それを何者と考えるか」、都市伝説は「どのような物語として伝わるか」、ネット創作は「どのように制作されたか」を示します。
たとえば口裂け女は、「都市伝説」であると同時に「現代妖怪的な存在」とも考えられます。
消えるヒッチハイカーは「都市伝説」であり「幽霊譚」です。
モスマンは「UMA」として語られながら、その目撃談や周辺の物語が都市伝説的に流通しています。
スレンダーマンは「作者のいるネット創作」ですが、多人数による設定追加を通じて伝承に似た変化を起こしました。
一方、ドラゴン、ケルベロス、メドゥーサ、フェンリルなどは古い神話や伝説の体系と結びついた存在です。
これらを単に「都市伝説の怪物一覧」へ混ぜると、成立した時代も文化的背景も見えなくなります。
怪異を一つの箱へ無理に押し込む必要はありません。
一つの存在が複数の分類へまたがることこそ、現代の怪異文化では普通なのです。
なぜ都市伝説の怪物は時代ごとに姿を変えるのか?
ここからは筆者としての考察です。
都市伝説の怪物を成立年代順に並べると、ある共通点が浮かびます。
怪異は、人間がその時代に「安全だ」と信じている日常へ入り込んできます。
口裂け女が流行した舞台は住宅街です。
花子さんは学校のトイレにいます。
ターボばあちゃんは自動車を追います。
メリーさんは電話を使います。
きさらぎ駅では鉄道網そのものが異界へ接続します。
八尺様はインターネット掲示板から知られるようになりました。
ここから私は、都市伝説を単なる「怖い怪物の図鑑」として見るだけでは少し足りないと考えています。
都市伝説は、その時代の生活様式と不安を保存した心理史でもあるからです。
古典的な怪物では、山奥、洞窟、海、森など、人間の生活圏から離れた場所が恐怖の舞台になりやすくありました。
しかし都市伝説では、怪異との距離が極端に近くなります。
学校、道路、電話、電車、スマートフォン。
本来は人間を便利にし、安全にするための空間や技術が、物語の中で反転して恐怖の装置になります。
ここに都市伝説特有の強さがあります。
「危険な場所へ行かなければ大丈夫」という逃げ道を消せるからです。
さらに、1970年代の口裂け女と2000年代以降のネット怪談を比べると、恐怖の伝わる速度も変化しています。
口裂け女は子ども同士の口コミ、新聞、雑誌などを通して地域から全国へ広がりました。
八尺様やきさらぎ駅は、投稿された時点から地理的な距離をほとんど無視して読者へ届きます。
スレンダーマンやSiren Headになると、さらに一段階進みます。
「本当にあったらしい噂」である必要すらありません。
フィクションだと分かっていても、多数の参加者が画像や設定、物語を付け足すことで、怪異は巨大な共有世界へ育っていきます。
ここは昔の口承伝承と同じではありません。
しかし、誰かから受け取った物語を少し変えて次の人へ渡すという一点では、驚くほど似ています。
私は、この連続性こそ都市伝説が消えない理由の一つだと考えています。
科学が進歩し、夜の街が明るくなったからといって、人間から「分からないものへの不安」がなくなるわけではありません。
昔の暗い山道が怖くなくなれば、学校のトイレが怖くなる。
電話に慣れれば、知らない相手からの着信が怖くなる。
鉄道に慣れれば、いつもの電車が知らない駅へ向かう物語が生まれる。
インターネットが日常になれば、今度は画面の向こうから怪異が現れる。
つまり怪異は時代遅れになったのではありません。
人間が新しく手に入れた「安心できるはずの場所」へ、そのたびに引っ越しているのです。
この視点で都市伝説を年代順に見ると、口裂け女、花子さん、メリーさん、八尺様、きさらぎ駅、スレンダーマンは、まったく無関係な怪物の集まりではなくなります。
それぞれが、その時代の生活圏に生じた小さな亀裂なのです。
まとめ|都市伝説の怪物は「種類」と「発祥」を分けると分かりやすい
都市伝説の怪物・幽霊・妖怪には、口裂け女、トイレの花子さん、メリーさん、テケテケ、カシマさん、八尺様、人面犬など、多くの存在があります。
海外まで広げれば、モスマン、チュパカブラ、ブラック・アイ・キッズといった怪物も知られています。
一方、スレンダーマンやSiren Headは古来から続く怪異ではなく、作者と成立時期を確認できるネット創作です。
そのため、一覧を見るときは「怖いかどうか」だけではなく、都市伝説・幽霊・妖怪・UMA・ネット怪談・ネット創作のどこに位置するのか、いつ、どの媒体から広がったのかを確認することが大切です。
そして年代を追ってみると、都市伝説の怪物には一つの興味深い傾向が見えてきます。
1970年代の住宅街には口裂け女が現れ、学校には花子さんが残り、電話からメリーさんが近づき、2000年代の掲示板から八尺様やきさらぎ駅が生まれました。
怪異は、私たちの暮らしから離れていくのではありません。
生活環境が変わるたび、その時代の「日常」に合わせて姿を変えてきました。
だから都市伝説を調べることは、怪物の名前を覚えるだけではありません。
それぞれの時代の人々が、何を便利だと思い、何を安全だと信じ、そのすぐ隣にどんな不安を感じていたのかを読み解くことでもあるのです。
よくある質問
都市伝説で有名な怪物・妖怪は何ですか?
日本では、口裂け女、トイレの花子さん、テケテケ、カシマさん、八尺様、ターボばあちゃん、人面犬、メリーさんなどが有名です。
海外では、モスマン、チュパカブラ、ブラック・アイ・キッズなどが知られています。
都市伝説と妖怪・幽霊・UMAの違いは何ですか?
妖怪・幽霊・UMAは主に「その存在を何と考えるか」という分類で、都市伝説は「現代社会でどのような物語として語られ、広がったか」という側面を示します。
そのため、口裂け女は「都市伝説であり現代妖怪的存在」、モスマンは「都市伝説的に語られるUMA」のように分類が重なる場合があります。
八尺様やスレンダーマンは昔から伝わる妖怪ですか?
どちらも古来から伝わる妖怪ではありませんが、成立過程が異なります。
八尺様は2008年8月26日に2ちゃんねるへ投稿されたネット怪談として知られ、スレンダーマンは2009年6月10日にSomething Awfulへ投稿されたEric Knudsenによる創作を起点として、多数の参加者によって設定が拡張されたネット創作です。



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